知っ得情報  

知っ得情報



はじめに

本連載では主に蒸気ボイラのうち「貫流ボイラ」に関する事項を取り上げて行 く予定です。また蒸気関連の省エネ・省コストに関しても触れます。

ボイラとは

ボイラは一言で言えば「熱源」で、基本的に「火」で加熱して「媒体」に「エ ネルギー」を与える機械です。この「エネルギー」を保有した「媒体」を移送 することで離れた地点まで「エネルギー」を移送させることが可能となります。

ボイラの種類

ボイラは利用する媒体によりそれぞれ一般名称が付けられています。媒体とし ては主に下表のものがあり、一般に使用する温度帯域が異なります。

ボイラ名称 媒体 媒体温度(一般使用)
温水ボイラ~80℃
蒸気ボイラ蒸気100~180℃
熱媒ボイラ熱媒油200~350℃

例えば湯槽を90℃程度に加温したい場合などは蒸気ボイラを、ロールを24 0℃程度に加温したい場合には熱媒ボイラを利用する事になります。ただし6 0℃の蒸気を生成したり200℃の蒸気を生成したりといった、上表の媒体温度以 外で使用する特別な仕様も存在します。

蒸気ボイラの流れ 具体的なボイラの使用方法を蒸気ボイラで説明します。蒸気ボイラは水を火で 加熱して蒸気を生成し、蒸気は配管を通じて工場内の各個所へ移送されます。 蒸気は大きなエネルギーを保有しているため、熱交換器やジャケット釜などで 製品を加熱したり、乾燥機で製品を乾燥させたりと様々な方法で利用されてい ます。なお、熱を奪われた蒸気は水(ドレン)に戻ります。

蒸気ボイラの構造上の分類

蒸気ボイラは構造により下表のように分類されます。このうち、現在は「貫流 ボイラ」が圧倒的主流を占めています。

大分類小分類
丸ボイラ立てボイラ・炉筒ボイラ・炉筒煙管ボイラ
水管ボイラ水管ボイラ(自然/強制循環式)・貫流ボイラ
鋳鉄製ボイラセクショナルボイラ

圧力

ボイラを語る際に必ず必要になる「圧力」に関して説明します。現在利用され ている圧力の単位はMPa(メガパスカル)です。Pa (パスカル)は1m2の面積に1N(ニュートン)の力が作用する圧力(または応力)と 定義されており、MPaは106Paを表します。

以前は単位として工学気圧(kgf/cm2)が利用されて いたので、現在でも古い圧力計にはkgf/cm2という表記が残っているかもしれ ません。両者の関係は以下の関係が存在します。

1MPa ≅ 10kgf/cm2

なおMPa(メガパスカル)、kgf/cm2と大気圧(1atm)、水頭圧(mH2O、mAq)、水銀 柱ミリメートル(mmH2O、Torr)との関係は以下のようになっています。kgf/cm2 を10で割ると、ほぼMPaの値が出ます。

1MPa ≅ 10kgf/cm2 = 100mH2O(mAq) ≅ 7600mmHg ≅ 10atm

次に「ゲージ圧力」と「絶対圧力」という用語の説明をします。私たちが住ん でいる地球には重力があり、その地表付近は空気でおおわれています。空気に も質量があるため(1気圧、0℃の空気の比重:0.00129、密度:1.2kg/m3)、海面で面積1cm2あたり約1kgほど(水銀柱に換算し て約760mm)、つまり0.1MPaの圧力が常にかかって います。この圧力を大気圧と呼びます。

水深10mの海中に潜った場合、この大気圧に加えて10m分の水の質量が加算され るため、

大気圧 0.1MPa + 水頭圧 10mH2O ≅ 0.1MPa + 0.1MPa = 0.2MPa

の圧力を体が受ける事になります。この大気圧込みの数字を「絶対圧 力」と呼びます。一方、大気圧を除いた数字を「ゲージ圧 力」と呼びます。

圧力計の表示はこのゲージ圧力を表しています。よって、大気圧下では0MPa、 水深10mでは0.1MPaを指すことになります。ちなみに貫流ボイラで通常使用さ れる圧力はゲージ圧力 0.7MPa程度、すなわち絶対圧 力0.8MPa程度です。

今後、本連載では断りの無い場合は「ゲージ圧力」の事を「圧力」と 表記し、「絶対圧力」は明記することにします。

ボイラの法規上の分類

ボイラはその大きさに応じて法律によって以下の4つに分類が成されています。

大きさの比較は「最高使用圧力(MPa)」と「伝熱面積(m2)」によって行います。

最高使用圧力
ボイラが使用できる媒体圧力の上限のこと。貫流ボイラであれば蒸気圧 1MPa等。
伝熱面積
ボイラ内で燃焼ガス(火または加熱された空気)が触れる面積のこと。ここ で媒体が燃焼ガスによって間接的に加熱される。

貫流ボイラの法規区分 以下に蒸気ボイラと温水ボイラの法規上の分類を個々に示します。蒸気ボイラ は貫流ボイラとそれ以外によって分類方法が異なります。次表は貫流ボイラの 分類区分を表しています。

蒸気ボイラの法規区分 次に貫流ボイラ以外の蒸気ボイラの区分を示します。

2つの表を比べると貫流ボイラの規制の方が随分と緩やかになっているのが分 かると思います。これは貫流ボイラの安全性が高い事が主たる要因です。

温水ボイラの法規区分 次に温水ボイラの区分を示します。温水ボイラは圧力の代わりに水頭圧で分類 します。

各ボイラ分類の説明

ボイラは各区分(ボイラ、小規模ボイラ、小型ボイラ、簡易ボイラ)毎に取扱者 の資格や取扱作業主任者の選任、設置に関する役所への届出等がそれぞれ義務 付けられています。以上を下表にまとめます。

ボイラの取扱区分

現在主流となっている貫流ボイラは簡易ボイラ・小型ボイラの枠内で2.5t/hま で蒸気を発生できます。(大型貫流ボイラも存在します。)小規模ボイラ・ボイ ラに比べて簡易ボイラ・小型ボイラの規制は極めて緩やかなため、貫流ボイラ が重宝される原因がお分かりになると思います。

次回予告

貫流ボイラも万能ではなく、メリット・デメリット共に存在します。その辺り も含めて次回は「貫流ボイラ」とはどういうものかをご説明したいと思います。

加筆修正